精神科医が肩肘張らずにブログを書いてみた

精神科が多くの人に関心をもってもらえますように。

ヲタ活と精神科医 序章? ~引きこもりに絡んで~

無事に外来診察室ができあがり、外来をオープンいたしました(*^^)v

さて、今回はついに(?)ヲタ活と精神科のお話。

 

ある地域で、引きこもりとなっている思春期の方々のデイケアをお手伝いすることになりました。お誘いをしてくださったスタッフさんによると「漫画やゲーム、アイドルなどが共通の話題になることが多く、それらを通してコミュニケーションをとっていきたい」と考え、私が「適任」だろう、と。

 

適任・・・というのは、私がこういう文化に抵抗がない、そこそこヲタクなのが認知されていたためです(笑)

 

私は小さい頃から、漫画やゲームなど十分なヲタクの素質があったと思うのですが、自分なりに少し距離を置いていました。しかし、アイドルグループのライブに行くことになり、これが転機に。

 

隣になった若い男性に声をかけてみたところ、その人は引きこもりとなっていたエピソードがあり「ずっと家から外に出られなかったのだけれど、今日やっとライブに来れました」と。このグループは引きこもりの時期があったメンバーがそのことを公表していて曲にしているのだけれど、そこからエネルギーをもらい外にでるきっかけになった、というのは凄いことだなと。

 

このことがきっかけとなり、自分なりにきちんとヲタク文化を体感してみようと思い、その後、今の「沼」に至っています。

沼にはまって現場やSNSに関わってみると、それはそれで単純なものでないこともわかってきます。引きこもりなどから立ち直っていく人たちもいれば、逆に新たな場所で起こる人間関係に傷ついていく人たちもいるし、健康的に生きていたはずが逆に依存状態となってしまうケースも。アイドルに限らず、二次元(漫画やアニメなど)なども含め、「健康的に逃避できる空間」として自分の中で安定させるまでは、それなりのプロセスがあり、スキルが必要なようです。

 

とある大物政治家が、精神科医も治せなかった引きこもりの人たちがゲームをきっかけに外に出るようになった、というような発言をしたことがありました。私もそういう力ってあると思うし、精神科医もこういう時代の変化に向き合わないといけないのではないかなとも思います。少なくとも、うちらが実際に治療をできる人数とは比べ物にならない多くの人たちに、サブカルの世界が何らかの影響を与えていることは確かでしょう。あとは、精神科医だからできることが、そこにあるかどうか。私は一部の人たちに対しては「ある」と考えています。だから、今回のお手伝いを引き受けました。

 

引きこもりをしていた人たちが、自分の安心できる場所を見つけ、そこを確保しつつ再び外の世界に出ていく。私たちはプロとして、そのサポートをしていければいいのかなと思っています。

 

~~~~~

 

リンクを貼っておきますので、ご興味のあるかたはどうぞ。

私はこのグループの現場は離れてしまっていますが、相当数の引きこもりになっている人、なっていた人たちに対して、役割を果たしていると感じていました。

youtu.be