精神科医が肩肘張らずにブログを書いてみた

精神科が多くの人に関心をもってもらえますように。

お別れ(モーニングワークのお話からアイドルについての持論まで)

注) 患者さんも読んでいるので、タイトルにびっくりしないように。私が今の仕事を辞めるフラグではない事を最初に書いておきます。

 

さて、すっかり不定期連載。(ごめんなさい)

今回は「お別れ」のお話。

 

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私が精神科医になって間もなくから、精神分析(正確には精神分析的精神療法)の勉強でお世話になっていた師が引退をされることになり、最後のご挨拶をしてきました。

ご年齢的なこと、戻られるお住まいの場所から、ほんとうにお別れの時。

1時間の時間をいただき、今までのことを振り返ったり、今やこれからの悩みについて相談をしたり。

そして、その時間だけでなくお会いしに行くまでやそのあとも、いろいろな思い出を振り返ったり、自分の気持ちと向き合ったりしていました。

 

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人と人において、大切な人と関係を終わる事はとても大きな作業と考えています。それゆえ、このことから目をそむけたくなるという意識、無意識がはたらく事もあります。また、今回 私が書いたような「お別れのための時間」をきちんと取れない事も多くあります。そのような場合は、心の中により多くの処理しきれない気持ちが残り、それが後々まで影響をすることがあります。

精神科、心理の領域では、このお別れにまつわる気持ちの処理を「喪の仕事(モーニングワーク)」と呼んでいます。治療においても、この「喪の仕事」を扱う事が多々あり、今回記事にしてみました。

 

そして、この記事の下書きは1ヶ月前にはしていたのですが、自分の中で少し気持ちと向き合うまでお時間をいただいておりました。

 

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ここからはサブカルの話。(え?)

実は私にとってもう一つお別れが。

 

以前にも記事にしていますが、でんぱ組.incというアイドルグループを応援していて、そのメンバーの夢眠ねむさんが引退を決めました。芸能活動10年。グループからの卒業だけでなく、芸能界からの引退発表。

 

すごいな、彼女らしいなと思ったのは、年単位で引退までの準備をしていたこと。ファンへの発表はそれよりも後でしたが、発表までに振り返ればたくさんの伏線があり、そして発表後もお別れのための時間が設けられました。

 

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実は、近年のアイドルシーンにおいて気になっていることが。

アイドルというのはファンへの心理的な影響が大なり小なりある経済活動と考えています。

それゆえ、様々な事情があるとはいえ、可能かなぎりお別れのための時間はつくれるよう努力をすることは、プロフェッショナルなのであれば考えるべきことなのではないか、というのが私の持論です。

 

あまりに突然なグループの解散、メンバーの脱退が続いた2018年のアイドルシーン。こういうことが続くことは、アイドルとファンの信頼関係に影響して長い目で全体の衰退を招くのではと危惧しています。

 

夢眠ねむさんの卒業公演、行ってきます。