精神科医が肩肘張らずにブログを書いてみた

精神科が多くの人に関心をもってもらえますように。

葛根湯と松岡修造 ~薬を漫然と飲むことの問題~

本日はお薬のこと。

薬は病を治したり症状を軽くする効果があります。しかし、薬は時に新たな問題を起こしたり、元の症状を強くしてしまったりすることもあります。今回、精神科特有の薬ではないですが、漫然と投薬されていることが問題であろうと感じた、わかりやすい例があったのでお話をしようと思います。

 

*以下、守秘義務があるので実際の話をデフォルメしています*

 

とある勤務先で「慢性的に体が疲れてしまってつらい」という方がやってきました。

この方がもらっていたお薬に「葛根湯1日3包」という記載がありました。「肩こり」に対して処方されており、時々飲み忘れはあるものの長く飲み続けていたそうです。

 

葛根湯は「初期の風邪」に対しての使用が有名ですが、肩こりや筋緊張性頭痛(首や肩が張ってしまう事で起こる頭痛)にも適応があります。

 

しかし、この方に葛根湯は違和感があるのです。

 

前述の通り葛根湯は「初期の風邪」に効果を発揮します。雑なたとえですが・・・松岡修造が体に入り「お前はやればできる!お前の限界はこんなもんじゃないだろ!」と、代謝、免疫系を賦活させることで体に病原体とたたかう元気を出させている、そんな感じです。(アントニオ猪木の闘魂注入でも構いません(笑))

 

そんな葛根湯、処方できる患者の大原則は「体にある程度の余力があること」なんです。で、この患者さんは慢性的に疲労感がぬけず、弱ってしまっている…

 

確かに葛根湯は肩こりへの適応があるのですが…疲れ切った状態に「まいにち修造」をイメージしてみてください。厳しいですよね。。。ということで、これらを説明して漢方を変更。まずは体力回復と血行改善をして体調を戻していくことを提案しました。

 

結果、この患者さんをとてもいい状態に持っていけるかはわかりませんが、少なくとも今より辛さが和らぐかな、とは思っています。

 

…必要なお薬はきちんと飲むことが大切だし、自分で勝手に調整をすることは危険なのですが、薬を飲み続けても飲み続けても具合が良くなってこないときは、漫然と飲むのではなく医師と率直に相談をしていくことも大切なのかなと思います。また医師側も、そのことに対し「何でだろう?」と考える姿勢は忘れてはいけないのかなと。

 

これは私自身も意識をしていないといけない大切なことなので、文章にしておきました。

 

 さて、いよいよ連休明け7日に常勤先の外来診療室がオープン予定。ホームページもまもなく一部を公開できそうです。(*こちら側にリンクを貼るかは未定なのですが)

 

わくわく♪